| 第4話「つゆ」の話 そばは、よく「手打ちそば」だの、「二八そば、 十割そば」だの、「石臼挽きのそば粉はうまい」 だのと話題にされますが、何をかくそう 「つゆ(tsuyu)」にも、そばと同等かそれ以上の、 手間と時間と費用が掛かっているのです。 つゆ(tsuyu) そばのつゆは、奥が深く、そば同様、 その店の個性を反映させています。 まずは、「だし」。 和食用のだしは、和の鉄人が使っていたような、 「命のだし」、つまり「花かつお」と称されるものを 使います。その削り節は、およそ100分の2から3ミリの 厚さです。沸騰したお湯に入れ、短時間で「だし」を引き 出します。そこから、うまみと風味を重視した「だし」が 生まれます。 そばつゆ用の「だし」は、「かえし」と合わせるため、 より濃厚なだしを必要とします。そのため、1ミリ前後に 削った節を使い、やや多めの分量を投入、30分から1時 間かけてゆっくり煮出します。そうすることで、より濃厚 なうまみのある「だし」をとるのです。「節」には 「本鰹節」、「宗田鰹節」、「さば節」を代表とする節が あり、それらを組み合わせ その店オリジナルの「だし」を作ります。 「つゆ」を作るうえで、「だし」と同様、重要なのは、 「かえし」です。 「かえし」は、醤油、砂糖、味醂を適度に調合し、1週間 ほど寝かせます。ここでも、醤油、砂糖、味醂の種類、 それらの配合割合や、火の入れ方に、その店の個性 が現れてきます。 こうしてできた、「だし」と「かえし」を使う前日に合わせ さまし湯煎し、またさまし、翌日の出番に備えるのです その店の「蕎麦」に一番合ったオリジナル「つゆ」。 意外と、手間ひま掛かるものなのです。 蕎麦の食後に、「そば湯」を入れて、 最後まで飲んでやってください。 |